LOGIC効率的で再現性のあるスイング

飛距離を飛ばせる技術

『飛距離をUPしたい』という欲望は、かっこいい/綺麗なスイングをしたい欲望と同等、いやそれ以上に、どの世代のどのレベルのゴルファーにも尽きる事はないのではないでしょうか。

エンジョイゴルファーの方でも、「あの時ティーショットをかっ飛ばした感動が忘れられない」と飛距離にこだわる男性の方は多いでしょうし、150yも200yも先へ自分の打ったボールが飛んでいくという現象に非現実的な快感を得られて気持ちが良いという女性は多いことでしょう。そしてゴルフが上達してくると、特に競技志向のゴルファーになればなるほど、快感や自己満足の世界から飛躍して、”一打目の距離”の重要性を痛感してくるものです。5yでも10yでも飛距離を伸ばすため、ある人はクラブにお金をかけ、トレーニングを始め、またある人はレッスンを受け、わらをも掴む思いで飛距離を求める方々がたくさんいらっしゃいます。そして年齢を重ねていくと、いずれは飛距離が落ちてくる、という悲しい現実にも向き合っていかねばなりません。過去に飛距離が出ていた時の自分を実体験として知っているので、これはまた未体験の飛距離を求めることとは少し趣が違うことでしょう。このように老若男女問わず、飛距離をUPすることはゴルファーの一番のテーマの一つかと思います。

ゴルフコースでのパフォーマンスにおいては、まず方向性と再現性が大切ですが、非効率的で飛ばないスイングではやはり、スコアメイクが難しくなります。特に距離の長いセッティングでは。また「インパクト効率の高い飛ばせる技術」というのは、端的にいいスイングの指標の代表格です。見た目があまり良いスイングでなくても、飛ばす技術があるということは、たとえ再現性がなくとも、パワーがあるということだけでなく、効率的にクラブに負荷をかける技術があるということです。

再現性のあるスイング

飛ばせる技術というのは大きな強みではありますが、大きく曲がったりボールコンタクトに再現性がないと、コースでは使い物にはなりません。再現性を高めるためには、

  • A

    ターゲット/目標に対してのスイングプレーン

  • B

    ヘッドスピード

  • C

    ヘッドの入射角

  • D

    スピン量

  • E

    打ち出し角などを揃えていかないといけません。

その大前提として、ゴルフクラブの特性を踏まえた、

  • a

    効率の良いクラブアクション

  • b

    無駄にブレーキをかけず(身体が緊張せず)ダイナミックに動く身体

  • c

    振り子運動の支点を作ることやバランス感覚

  • d

    「クラブの重心を引き続ける」スイング全体の流れ

などが大切となります。そしてそれらが練習で整ってくれば、最後はやはりリズム、テンポ、イメージ、呼吸、などが(特にコースでは)重要になってきます。

基礎的な物理として

まずはボールが飛んでいく現象を物理で考えていきましょう。

飛距離 = ボール初速 x 打ち出し角 x スピン量

物理的には「ボール初速」を上げて、「打ち出し角度」と「スピン量」を適正化していく、ということが大切になります。ボールを強く叩けたとしても、アウトサイドインでボールに”点で”ぶつけるようなスイングでは真っ直ぐに飛ばないばかりか、打ち出し角やスピン量も揃ってきません。厳密には多少アウトサイドインに振っていてもまっすぐ飛ばす事は可能ですが、スイング全体の効率性やインパクトの再現性を考えると、「スイングプレーン」という概念が重要になります。プレーンを機械的にイメージするというよりは、ターゲットに対してボールを飛ばすためのエネルギーを発揮した際に、所謂オンプレーンスイングとなるのが理想です。この”ターゲットと飛球の弾道に対するスイングプレーン”を基準とした、効率的なスイングが鍵となります。
また、ある程度スイングができてくると、自分のスイングで飛距離を最大化してくれる、自分にあったクラブ選びというものが大切になってきます。ドライバーでロフト角が1度違うクラブ、という、クラブに今まであまり興味を持ったことのない人からすればたった1度と思うかもしれませんが、1度変わるだけで打ち出し角度だけでなくスピン量も大きく変わるため、ボールの弾道や飛距離は思った以上に変わってきます。

さらにアマチュアの多くはクラブがオーバースペックの傾向にあります。アマチュアの男性でツアープロと同じような重さのクラブを振っている人をよく見かけますが、「柔らかい、軽いクラブ」を使うことに”男として”抵抗がある方が多いように思います。ゴルフクラブ産業からのバイアスの刷り込みもあるかもしれません。女性はスイング中、”悪さ”をしないようにと重めのクラブを勧められて使っている方が多いですが、重過ぎるクラブを振っていると、クラブを感じるどころか、重い物を頑張って振ろうとして、身体を固めてしまいがちになることもよくあります。ゴルファーによっては重いクラブを振ることでミスは大きくなりにくいかもしれませんが、HSが落ちてクラブを気持ちよく振れていない方も、一方では少なくないのです。クラブの重さを感じる練習として、重めのクラブで練習するのは有効ですが、最終的には軽いものを重たく感じられるようなスイングが理想的です。軽過ぎるのは問題ですが。。。

ボール初速 = ヘッドスピード x インパクト効率

ボール初速を上げる為には、ヘッドスピードを高めて、ボールの衝突時のインパクト効率をあげていく必要があります。単純にヘッドスピードを上げる作業においては、基礎体力が必須で、ここの底上げが必要となります。ただ、運動の専門家の立場で見ると、ほとんどのアマチュアゴルファーは自身の筋力を使いきれていません。分かりやすくいうと、ボールに当てにいく意識やクラブフェース先端の意識が強くなり、多かれ少なかれ、腕や体をロックして固めてしまっています。その結果、本来持っている筋出力や関節の可動を活かしきれていない方がほとんどです。それによってもちろんクラブに効率よく負荷もかけられません。こういう方は上記に示したように、「クラブの特性を活かしたクラブアクション」と「身体が緊張しないでダイナミックに動くこと」、「振り子運動の支点を作ること」、「クラブの重心を引き続けるスイングの流れ」が必須です。そしてまたスイング運動中、身体を思い通りに、固めないで身体をコントロールして動かしていくためには、少なくとも身体のコンディショニングや軽い運動(水泳や体操みたいなものでも十分)はやってほしいと思います。特に普段お仕事でデスクワークが多く、ガチガチに身体が固まっている方は。
またヘッドスピードに関して、道具の視点でお話しすると、クラブ運動のラグ(時間差)を上手く作れないことでヘッド(クラブの先端)を上手く走らせていないアマチュアの方が大半です。アーリーリリースが典型的な例ですが、身体よりもクラブに仕事をさせることの方が労力が少なく、クラブの運動効率が悪い事でHSをロスしている方はまず道具を効率的に使うことを覚えることが先決かと思います。

インパクト効率を上げていくためには、インパクトゾーンを長くしていくことが大切になります。分かりやすくいうと点で合わせず、ゾーンで捉えるスイングを目指していく必要があります。言葉を言い換えると、(アーリーリリースをしない前提で、)インパクトエリアにクラブが緩やかに入り、フェースをターンさせるということです。これがボールの捕まりをよくし、インパクト効率を上げてくれます。またインパクトゾーンが長くなると、ミスの度合いを小さくして、完璧なショットでなくても、”ナイスミス”の数を増やしてくれます。このゾーンを長くするためには、「クラブフェースのローテーションとそれに神がかり的にマッチする肘から先の運動」が必須です。クラブを振る、フェースをターンさせる、というゴルフスイングのクラブ捌きは、本当に勘違いされたり、表面的な部分だけ捉えられることが多いですが、ほとんどのゴルファーのスイング作り・スイング改善の核となるべきところです。